
膀胱炎・尿道炎
特に女性に多い身近な病気で、実は女性の約2人に1人が一生のうちに一度は経験するといわれるほど一般的です。
しかし「トイレのたびにしみるような痛みがある」「何度も繰り返してしまう」「放っておくと悪化するのでは?」と不安になる方も少なくありません。
当院では、岩槻の地域の皆さまに寄り添い、優しく親身に対応することを心がけております。尿検査や効果的なお薬(抗生物質)の処方、必要に応じた性感染症の検査も可能ですので、症状に心当たりのある方はどうぞ早めにご相談ください。
膀胱炎・尿道炎とはどんな病気?
膀胱に細菌が入り粘膜に炎症が起こる病気です。
主な原因は細菌感染で、特に大腸菌という細菌が膀胱炎全体の約7割を占めます。
女性の場合、尿道の長さがわずか3〜5cmほどと短く、肛門とも近いため細菌が膀胱に到達しやすく膀胱炎を起こしやすいと言われています。
一方、尿道炎は尿の通り道である尿道自体が炎症を起こしている状態です。
ただし女性の尿道炎は単独で発症することが少なく、膀胱炎と同時に起こるケースがほとんどです。女性は尿道が短く膀胱まで細菌が達しやすいため、膀胱炎の症状(膀胱の炎症による症状)が前面に現れ、尿道だけの炎症(尿道炎)として自覚されにくいのです。
一部にはクラミジアや淋菌など性感染症(性病)による尿道炎もありますが、その場合は膀胱よりも婦人科系の感染(例:子宮頸管炎)として症状が現れることがあり、検査・治療法も通常の膀胱炎とは異なります。いずれにせよ、膀胱炎・尿道炎はいずれも尿路の感染症であり、早めの対応でほとんどが治る病気ですので過度に心配しすぎず、しかし放置せず適切な治療を受けることが大切です。
膀胱炎・尿道炎の症状
- 頻尿(ひんにょう)
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トイレが近くなり、何度も尿意をもよおします。ひどい時は1日に10回以上トイレに行くこともあります
- 排尿時の痛み・灼熱感
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おしっこをするときにツーンとしみるような痛みや、ヒリヒリと焼けるような不快感があります。特に尿道炎では排尿時の痛み(排尿痛)が強く、尿道の奥や出口付近にチクチクした痛みを感じることがあります。
- 残尿感
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排尿後に「まだ尿が残っている感じ」がするなど、スッキリしない違和感があります。何度もトイレに行きたくなりますが、一度に出る尿の量は少なくなりがちです。
- 尿の濁りや血尿
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尿が白く濁ったり(膿や白血球が混ざるため)、ピンク色〜赤茶色に血が混じって見えることがあります。肉眼で分かるほどの血尿が出るケースは多くありませんが、症状が強いときや子ども・高齢者では見られることもあります。
こうした症状に加え、人によっては下腹部(膀胱のあたり)の鈍い痛みや違和感、軽い発熱を伴うこともあります。特に膀胱炎が進行して腎臓の方まで感染が広がってしまった場合には、背中の痛みや38℃以上の発熱、悪寒など全身の症状が出ることもあります。一般的な膀胱炎・尿道炎では高熱になることはまれですが、もし発熱や腰背部の痛みがある場合は早急な受診が必要です。
膀胱炎・尿道炎の原因と誘因
直接的な原因は、主に細菌の感染です。
多くは大腸菌など身体にもともといる菌が尿道から逆行して膀胱に入り込み起こります。女性の場合、前述の通り尿道の構造上どうしても細菌が膀胱へ届きやすいため、生活上のちょっとしたきっかけで膀胱炎を発症することがあります。以下に、膀胱炎・尿道炎を引き起こしやすい主な誘因を挙げます。
- 性行為
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いわゆる「H後(エッチのあと)の膀胱炎」とも呼ばれるもので、新婚旅行中によく起こることから「ハネムーン膀胱炎」ともいわれます。
性行為の刺激により尿道口から細菌が入り込みやすくなるためです。ただし膀胱炎自体は性感染症(性病)ではなく、パートナーから菌をもらう病気ではありません。原因の多くはあくまで自分自身の腸内細菌ですので、「彼氏のせい…?」と心配しすぎないでくださいね。その代わり、性行為後はできるだけ早めに排尿する(膀胱内の細菌を尿と一緒に洗い流す)ことを習慣にしましょう。
- トイレを我慢する習慣
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忙しさや職場・学校でトイレに行きづらい状況から排尿を長時間我慢していると、膀胱に溜まった尿の中で細菌が増殖しやすくなります。尿意を感じたらできるだけ早めにトイレに行くことが大切です。
- 水分摂取不足
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あまり水やお茶を飲まないでいると尿の量が減り、結果的に細菌を体外へ洗い流す力(自浄作用)が弱まります。日頃から意識してこまめに水分をとることで、膀胱炎の予防につながります。特に暖房や冷房で乾燥しやすいオフィスで勤務されている方は意識して水分補給しましょう。
- 体の冷え・疲労・ストレス
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身体が冷えると血行不良により膀胱周りの防御機能も低下します。また徹夜続きやストレス過多の状態では免疫力が落ちて細菌への抵抗力が弱まり、膀胱炎になりやすくなります。
冷え性の方は夏場でも腹巻きやカイロで下腹部を温める、疲れをためないよう睡眠をとるなど体調管理も再発予防には重要です。生理(月経)中もホルモンバランスの影響で膀胱炎を起こしやすいと言われますので、体を冷やさず清潔に保つよう心がけましょう。
- 過度な洗浄・刺激
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デリケートゾーンを洗いすぎると、膣内の自浄作用を担う常在菌(乳酸菌など)まで洗い流してしまい、かえって膀胱炎になりやすくなるという指摘があります。
また刺激の強い石鹸やボディソープの使用、合わない生理用品の長時間使用なども尿道口周辺の皮膚を荒らし、炎症のリスクを高めます。清潔にすることは大切ですが、デリケートゾーンはやさしく洗う、刺激の少ない石鹸を用いる、ナプキンはこまめに交換する、といった点に注意しましょう。
以上のような誘因に心当たりがある場合は、生活習慣を見直すことで膀胱炎の再発予防につながります。当院でも必要に応じて生活上のアドバイスをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
当院での検査・治療方法
- 尿検査
- 性感染症の検査
- 抗生物質の処方
- 症状のケア・日常生活のアドバイス
当院での検査や治療は基本的に外来で短時間で行えるものです。尿検査もその場で結果が出ますし、お薬も院内処方の場合は当日から服用を開始できます。「膀胱炎かな?」と思ったらまずはお気軽にご来院ください。早めに治療を受ければ、ほとんどの場合は数日でつらい症状が改善し、日常生活に支障なく過ごせるようになります。
放置するとどうなる?~悪化させないために~
「膀胱炎っぽいけど市販薬で様子を見ようかな」「忙しいしそのうち治るかも?」と受診を先延ばしにしてしまう方もいるかもしれません。しかし膀胱炎・尿道炎を放置すると、思わぬ悪化を招くリスクがあります。特に注意したいポイントは次のとおりです。
- 腎臓への波及
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膀胱でとどまっていた感染が尿管をさかのぼって腎臓まで達すると、腎盂腎炎(じんうじんえん)という状態になります。腎盂腎炎になると高熱や腰の痛みが出て、入院が必要になることもあります。膀胱炎の症状を繰り返し放置していると腎臓にもダメージを与える可能性があるため、症状に気づいたら早めに受診してください。
- 症状の長期化・慢性化
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急性膀胱炎でも、治療せず放っておくと症状が長引いてしまうことがあります。痛みや頻尿が何週間も続くと日常生活の質が著しく低下してしまいます。また中途半端に症状が治まったりぶり返したりを繰り返すと、慢性膀胱炎という状態に移行することもあります。慢性膀胱炎では症状が軽くなったり悪化したりをダラダラと繰り返し、治りづらくなってしまいます。こうなる前に、一度しっかり治療を受けてピタッと治してしまうことが重要です。
- 他の病気が隠れている可能性
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頻繁に膀胱炎になる場合や、抗生剤を飲んでもなかなか治らない場合、実は別の病気が潜んでいることもあります。例えば膀胱や尿道に結石(尿路結石)があって粘膜が傷つきやすい、糖尿病などで免疫力が落ちている、膀胱炎だと思っていたら実は膀胱がんだった例はまれですが報告されています。必要に応じて超音波検査や詳しい尿検査を行い鑑別しますので、「いつもの膀胱炎だから」と自己判断せずに専門医を受診するようにしましょう。
いずれにせよ、膀胱炎・尿道炎と自己判断できる場合でも放置は禁物です。痛みや不快感を我慢する必要もありませんし、早めに適切なお薬を使えばあっという間に良くなります。当院では岩槻周辺にお住まいの皆さまが安心して受診できる環境を整えておりますので、「おかしいな」と思ったら遠慮なくお越しください。
よくあるご質問
膀胱炎・尿道炎にお困りの方は、当院が全力でサポートいたします。「またぶり返したらどうしよう」「恥ずかしいから受診しにくい…」と迷っているうちに症状が悪化してしまっては大変です。
早期に治療すれば短期間で楽になりますし、繰り返さないための対策も一緒に考えていけます。当院スタッフ一同、丁寧で優しい診療を心がけておりますので、お一人で悩まずお気軽にご相談ください。岩槻の地元の皆さまの健康を守る身近な泌尿器科クリニックとして、安心してご利用いただければ幸いです。
