
発熱+排尿症状
高い熱と排尿時の痛み・違和感や頻尿(トイレが近い)などの症状が同時に起こると、とても不安になるものです。
こうした発熱+排尿症状は、尿の通り道に起こる尿路感染症が原因で見られることが多く、代表的な疾患には膀胱炎や腎盂腎炎があります。特に女性に多い症状ですが、若い男性に起こる場合もあります。適切な治療を行えば改善する病気ですので、症状がある方は早めにご相談ください。
考えられる主な病気
発熱と排尿痛・頻尿などの症状がある場合、まず疑われるのは尿路感染症です。
その中でも膀胱炎と腎盂腎炎が代表的な疾患です。膀胱炎は膀胱に細菌が感染する病気で、特に女性に多くみられます(女性は尿道が短く細菌が侵入しやすいためです)。
主な症状は排尿時の痛みや残尿感、血尿などで、軽い膀胱炎の場合は発熱を伴わないことがほとんどです。急性膀胱炎で高い熱(38℃以上)が出ることは珍しく、たいてい微熱程度にとどまります。
一方で腎盂腎炎は腎臓の感染症で、膀胱炎が悪化して起こることが多く、高熱や腰背部の痛み、悪寒、全身のだるさといった重い全身症状を伴います。膀胱から腎臓へ細菌がさかのぼることで腎盂腎炎が発症し、場合によっては緊急入院が必要になることもあります。膀胱炎では通常高熱は出ませんので、排尿症状に加えて38℃以上の発熱や激しい腰痛がある場合は、腎盂腎炎への進行が疑われます。
なお、男性の場合は女性に比べて膀胱炎や腎盂腎炎になる頻度は低いものの、油断は禁物です。若い男性で発熱と排尿痛・頻尿などがある場合、急性前立腺炎(前立腺の細菌感染)の可能性が高いとされています。急性前立腺炎でも高熱、全身の倦怠感、排尿時痛、頻尿、排尿しづらい(尿が出にくい)等の症状が現れ、重症化すると排尿困難や尿が出なくなる尿閉を起こすこともあります。男性でこれらの症状がある場合も放置せず、早めに専門医を受診してください。
放置した場合のリスク
- 腎盂腎炎への進行
- 膀胱炎の段階で治療せずにいると、膀胱内の細菌が尿管をさかのぼって腎臓に達し、腎盂腎炎を発症する可能性があります。腎盂腎炎は膀胱炎より症状が重く、高熱や激しい腰痛・悪寒などを伴い、入院が必要になることもあります。
- 腎機能への影響
- 腎盂腎炎が重症化すると、腎臓に大きな負担がかかり、最悪の場合腎機能の低下を招く恐れがあります。一度腎機能が損なわれると回復に時間がかかったり、稀に後遺症が残ることもあります。
- 敗血症(全身感染)
- 細菌が血液を介して全身に広がると、敗血症と呼ばれる重篤な全身感染症を引き起こすリスクがあります。敗血症になると血圧低下や多臓器不全などショック状態に陥り、命に関わる危険性もあります。実際、腎盂腎炎は最悪の場合命に至る可能性もある疾患です。このような事態を防ぐためにも、発熱を伴う排尿症状があるときは自己判断で様子を見るのではなく、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。
よくある質問
当院へご相談ください
症状がある方は、我慢せず早めに受診してください。当院では尿検査や血液検査、エコー検査(超音波検査)などを用いて原因を調べ、適切な治療を行います。
発熱や痛みは数日で和らぐことが多いですが、処方された期間はしっかり薬を飲み切ることが大切です。腎盂腎炎などで症状が強い場合は点滴による抗菌薬治療や入院が必要になることもあります。
必要に応じて高次医療機関と連携し、速やかに適切な治療が受けられるよう対応いたしますのでご安心ください。
