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膀胱鏡検査

尿道から細い内視鏡カメラ(膀胱鏡)を挿入して膀胱内部や尿道の状態を直接観察する検査です。

血尿(尿に血が混じる症状)や頻尿などの症状の原因を調べるのに非常に有用で、膀胱がんなどの腫瘍を早期発見するために欠かせない検査です。膀胱鏡検査では膀胱内だけでなく、膀胱から尿の出口までの尿道、男性では前立腺部尿道まで観察できるため、膀胱炎や尿道の異常、前立腺の肥大の有無なども確認できます。

必要に応じて、観察中に組織の一部を採取する生検(病理検査)を行い、膀胱がんやその他の尿路疾患の確定診断に役立てることも可能です。

初期の膀胱がんは痛みなど自覚症状が少なく、血尿以外の症状がないことも多いため、「血尿が出たけれど様子を見てしまった」という方も少なくありません。

しかし膀胱がんは早期に発見できれば完治を目指せる可能性が高い病気です。膀胱鏡検査はそのような膀胱がんの早期発見にとって非常に重要であり、泌尿器科専門医のもとで定期健診や精密検査として広く行われています。

「膀胱鏡検査は痛いのでは?」と不安に感じる方も多いですが、ご安心ください。

当院では細径で柔軟な軟性膀胱鏡を使用しており、従来の検査と比べて痛みや不快感を大幅に軽減できます。かつては直径約6mm・長さ30cmほどある金属製の硬性膀胱鏡(硬い真っ直ぐな内視鏡)で検査を行っていたため、特に男性では挿入時に強い痛みを伴う検査でした。現在は技術の進歩により軟性膀胱鏡(しなやかに曲がるファイバースコープ)が普及し、男性でも女性でも検査時の痛みは格段に少なくなっています。

当院採用の膀胱鏡は極細径のカメラで、尿道のカーブに沿って滑らかに挿入できるタイプです。挿入の際には潤滑ゼリーをたっぷりと尿道に注入・塗布し、摩擦や刺激を和らげてから検査を行います。

これらの工夫により、「思ったより痛くなかった」「違和感は少しあったが耐えられる程度だった」と多くの患者様に評価をいただいております。

  • 痛みの感じ方には個人差があります。
膀胱がん

膀胱内に発生する悪性腫瘍。膀胱鏡で直接観察することで、小さな腫瘍も発見可能です。早期発見できれば内視鏡的切除術(TURBT)による治療で完治を目指せます。痛みのない血尿が続く場合は膀胱がんの可能性があるため注意が必要です。

膀胱炎(慢性膀胱炎、間質性膀胱炎など)

膀胱の粘膜に炎症がある状態です。

細菌感染による急性膀胱炎は通常膀胱鏡検査まで行わず治癒しますが、症状が慢性的に続く場合や原因不明の場合は膀胱鏡で粘膜の状態を確認します。充血やびらんが見られれば炎症の程度が分かりますし、間質性膀胱炎(特殊な膀胱炎)の診断にも膀胱鏡所見が参考になります。

膀胱結石

膀胱の中にできる結石(尿路結石の一種)も膀胱鏡で可視化できます。結石はエコー検査やCT検査でも見つかりますが、膀胱鏡では実際の石の大きさや数、位置を直接確認できます。結石があると膀胱粘膜を傷つけて血尿や痛みの原因になります。

尿道結石・尿道狭窄

腎臓や尿管から流れてきた結石が尿道に詰まっている場合や、過去の治療などで尿道が狭くなっている場合も膀胱鏡で診断可能です。尿道内部をカメラで通過しながら観察することで、結石の有無や狭窄部位を確認します。尿道結石は膀胱鏡でそのまま摘出できることもあります。

前立腺肥大症

男性の場合、膀胱鏡を用いて前立腺が尿道をどの程度圧迫しているかを内側から観察できます。前立腺肥大症があると膀胱出口(膀胱頸部)が持ち上がるようにせり出して見えるため、尿道カメラで見ることで肥大の程度を評価できます。それにより、手術が必要か経過観察で良いかの判断材料にもなります。

この他にも、膀胱内のポリープ、尿道憩室、腫瘍による出血箇所の特定、尿管口からの逆流や尿道内異物の確認など、膀胱鏡検査で分かることは多岐にわたります。画像検査(超音波やCT)では捉えにくい微小な病変の発見にも優れた手法です。不明な泌尿器症状でお困りの方は、膀胱鏡検査で原因が特定できるケースもありますので、ご相談ください。

膀胱鏡検査は痛いですか?

従来より格段に痛みは軽減されていますが、まったく無痛というわけではありません。ただし、多くの患者様が「思っていたより平気だった」とおっしゃるように、検査中の痛みはごく軽度の違和感程度であることがほとんどです。当院では細く柔らかい膀胱鏡と麻酔ジェルを使用し、時間もできるだけ短くすることで痛みを最小限に抑えています。

検査後、すぐに仕事に戻れますか?

はい、基本的には検査後すぐ日常生活やお仕事に復帰可能です。膀胱鏡検査は外来で行う処置で、全身麻酔を伴わない場合は、検査後に安静が必要な時間もほとんどありません。実際、多くの方は検査直後にご帰宅され普段通り過ごされています。

検査に伴うリスクや副作用はありますか?

膀胱鏡検査は安全な検査ですが、侵襲的(体の中に器具を入れる)検査である以上、わずかながら合併症のリスクがあります。主なリスクは尿路感染症(膀胱炎や腎盂腎炎など)と出血、ごく稀に尿道や膀胱の損傷です。

血尿や排尿時の違和感などの症状があるにもかかわらず、検査を先延ばしにしてしまうと、深刻な病気の発見が遅れるリスクがあります。

特に膀胱がんは、痛みを伴わない血尿を唯一の症状としていることが多く、「血が混じるけど痛くないから様子見」と放置されがちです。しかし前述のとおり、膀胱がんは早期であれば内視鏡手術で完治も望めますが、進行すると膀胱全摘出など大きな手術が必要になったり、命に関わる可能性も出てきます。

実際に目に見える血尿(肉眼的血尿)が出た場合、約2~3割で膀胱がん等の尿路系のがんが見つかったという報告もあります。血尿を指摘されたら、放置せず速やかに泌尿器科で精密検査(膀胱鏡や尿細胞診、画像検査など)を受けることが重要です。

また、膀胱炎を繰り返していると思っていたら実は膀胱がんが隠れていた例や、膀胱結石を放置していたために慢性的な膀胱炎や膀胱壁の肥厚を招いてしまった例もあります。原因不明の症状を漫然と自己判断で放置することは大変危険です。膀胱や尿道の異常は、早めに発見して対処すれば比較的軽い治療で済むことがほとんどです。

気になる症状がある方は、お一人で悩まず早めにご相談ください。膀胱鏡検査により原因を突き止め、適切な治療へと繋げましょう。