
最近、トイレに行く回数が増えた気がする
夜中に何度もトイレに起きてしまう
そんなお悩みはありませんか?
頻尿は年齢や性別を問わず多くの方が経験する症状ですが、その原因はさまざまです。加齢による自然な変化の場合もあれば、膀胱炎・前立腺肥大症・過活動膀胱・糖尿病など、治療が必要な病気のサインであることも少なくありません。
このコラムでは、頻尿の定義や原因、放置した場合のリスク、そして受診の目安について、泌尿器科専門医の視点からわかりやすく解説します。
頻尿とは?何回からが「頻尿」?
一般的に、1日の排尿回数が8回以上の場合に頻尿と定義されます。ただし、排尿回数には個人差があり、水分摂取量や気温、生活パターンによっても変動します。
大切なのは回数だけではなく、ご本人が「トイレが近くて困っている」「日常生活に支障がある」と感じているかどうかです。
以前に比べて明らかにトイレの回数が増えた、夜中に2回以上トイレに起きるようになった、という場合は、一度泌尿器科に相談することをおすすめします。
また、夜間に排尿のために1回以上起きる状態を「夜間頻尿」といいます。特に2回以上起きる方は睡眠の質が低下しやすく、日中の疲労感や転倒リスクの増加にもつながるため注意が必要です。
頻尿の主な原因
頻尿の原因は多岐にわたります。男女で異なる原因もあるため、それぞれ確認していきましょう。

- 過活動膀胱
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膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮してしまう病気です。急に我慢できないような強い尿意(尿意切迫感)を感じ、トイレに間に合わず尿が漏れてしまう(切迫性尿失禁)こともあります。40歳以上の男女で約800万人以上が該当するとされ、頻尿の原因として非常に多い疾患です。薬物療法や行動療法で改善が期待できます。
- 前立腺肥大症(男性)
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50歳以上の男性に多い疾患で、前立腺が大きくなることで尿道が圧迫され、頻尿・残尿感・尿の勢いの低下・夜間頻尿などの排尿トラブルを引き起こします。加齢とともに有病率が上がり、60代で約6割、80代では約9割の方に前立腺の肥大が認められるとされています。
- 膀胱炎
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細菌感染による膀胱の炎症で、頻尿・排尿痛・残尿感が主な症状です。特に女性に多く、免疫力の低下や水分不足をきっかけに発症します。
- 糖尿病
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糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、体が余分な糖を尿と一緒に排出しようとして尿量が増加します。「水をたくさん飲むようになった」「トイレの回数が増えた」という場合は、糖尿病の可能性も視野に入れて検査を受けることが大切です。
- 心不全・腎機能の低下
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心不全や腎臓の機能低下があると、日中は体に水分がたまりやすくなり、横になると心臓への血液の戻りが増えて腎臓での尿の生成が促進されます。その結果、夜間の尿量が増え、夜間頻尿の原因となります。
- 水分の摂りすぎ・カフェイン・アルコール
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健康のためにと水分を過剰に摂取している場合や、コーヒー・緑茶・アルコールなど利尿作用のある飲み物を多く摂る習慣がある場合も、頻尿の原因になります。
- 心因性(精神的な要因)
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緊張やストレスが強い場面でトイレが近くなった経験はないでしょうか。精神的な不安や緊張が膀胱の感覚を過敏にし、頻尿を引き起こすことがあります。検査で異常が見つからない場合は心因性頻尿の可能性があります。
- 加齢による膀胱機能の変化
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年齢とともに膀胱の弾力性が低下し、ためられる尿の量(膀胱容量)が減少します。また、抗利尿ホルモンの分泌リズムの変化により夜間の尿量が増えるため、加齢は夜間頻尿の大きな要因の一つです。
頻尿を放置するとどうなる?
「歳のせいだから仕方ない」「恥ずかしいから受診しにくい」と放置してしまう方が多い頻尿ですが、原因によっては放置することでさまざまなリスクが生じます。

- 原因疾患の見逃し・悪化
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頻尿の背景に糖尿病・前立腺肥大症・膀胱がんなどの病気が隠れている場合、放置すると原因疾患が進行してしまいます。特に血尿を伴う頻尿は膀胱がんの可能性もあるため、早めの検査が重要です。
- 睡眠障害と健康への悪影響
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夜間頻尿で何度も目が覚めると、睡眠の質が大幅に低下します。慢性的な睡眠不足は、日中の眠気・集中力の低下だけでなく、高血圧・糖尿病・心疾患・うつなどのリスクを高めることが報告されています。
- 転倒・骨折リスクの増加
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高齢の方の場合、夜間にトイレに行く際の転倒は骨折やそれに伴う寝たきりの原因となります。夜間頻尿は高齢者の転倒リスクを約2倍に増加させるというデータもあり、軽視できない問題です。
- 生活の質(QOL)の低下
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外出先でトイレの場所が気になる、長時間の移動が不安、趣味や旅行を楽しめなくなる。頻尿は日常生活のさまざまな場面に影響を及ぼし、生活の質を大きく低下させます。
頻尿の検査
泌尿器科では、頻尿の原因を特定するために以下のような検査を行います。
- 問診
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排尿の回数・量・タイミング、困っている症状、生活習慣、服用中の薬などを詳しくお聞きします。受診前に2〜3日間の「排尿日誌」(排尿の時刻と量を記録したもの)をつけていただくと、診断の大きな手がかりになります。
- 尿検査
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尿中の細菌や白血球、血液の有無を確認します。膀胱炎や尿路感染症、腎臓の異常などを調べる基本的な検査です。
- 超音波(エコー)検査
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膀胱や腎臓、前立腺(男性)の状態を確認します。排尿後に膀胱にどれくらい尿が残っているか(残尿量)も測定できます。体に負担のない検査です。
- 血液検査
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腎機能、血糖値、PSA(前立腺特異抗原、男性)などを確認し、頻尿の背景にある疾患を調べます。
- 尿流量測定
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専用の機器に排尿することで、尿の勢いや量、排尿にかかる時間を客観的に測定します。前立腺肥大症の評価などに用います。
頻尿の治療
原因に応じて、以下のような治療を行います。
- 薬物療法
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過活動膀胱に対しては抗コリン薬やβ3作動薬、前立腺肥大症に対してはα遮断薬や5α還元酵素阻害薬など、原因に応じた薬を使用します。多くの方が内服治療で症状の改善を実感されます。
- 行動療法
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膀胱訓練(少しずつ排尿間隔を延ばすトレーニング)や、骨盤底筋体操(尿もれ予防の体操)は、薬と併用することでより効果が高まります。
- 生活習慣の改善
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夕方以降の水分摂取を控えめにする、カフェインやアルコールを減らす、塩分を控える(塩分の摂りすぎは夜間の尿量増加につながります)、適度な運動をするなど、生活習慣の見直しだけでも症状が改善するケースがあります。
- 原因疾患の治療
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糖尿病や心不全など頻尿の原因となっている病気がある場合は、その治療を並行して行うことが重要です。
受診の目安
以下のような状態であれば、泌尿器科の受診をおすすめします。
- 1日に8回以上トイレに行く
- 夜中に2回以上トイレに起きる
- 急に我慢できないほどの強い尿意がある
- トイレに間に合わず漏れてしまうことがある
- 以前に比べて明らかにトイレの回数が増えた
- 頻尿のせいで外出や仕事に支障がある
- 血尿を伴っている
特に血尿を伴う頻尿、発熱を伴う頻尿、急激に症状が悪化した場合は、できるだけ早く受診してください。
よくある質問
頻尿でお悩みなら
頻尿は「歳のせい」「体質だから」と片付けず、原因を正しく調べることが大切です。背景に治療が必要な病気が隠れている場合もありますし、原因に応じた治療で症状が改善する可能性は十分にあります。
まゆみ泌尿器科内科クリニック(東武アーバンパークライン岩槻駅 徒歩1分)では、頻尿・夜間頻尿・過活動膀胱をはじめとする排尿のお悩みに幅広く対応しております。
「こんなことで受診していいのかな」と迷われている方も、どうぞお気軽にご来院ください。
