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性行為後の排尿痛・分泌物

性行為後におしっこをすると痛みを感じたり、尿道から膿のような分泌物が出る。

こうした症状に心当たりはありませんか?これらは性感染症(性病)による典型的な症状の一つで、特に若い男性によくみられます。実際、排尿時痛や性器からの分泌物は淋菌感染症(淋病)やクラミジア感染症に感染している可能性を示すサインです。

淋病やクラミジアは非常にありふれた性病で、日本でも若年層を中心に患者数が増加しています。「性行為後 排尿痛」などの症状がある場合は性感染症が強く疑われますので、恥ずかしがらず早めに医師の診察を受けましょう。

症状の特徴: 淋病やクラミジアに感染すると、性行為の数日~数週間後から排尿時にヒリヒリする痛み(排尿痛)や尿道からの分泌液(膿)が見られることがあります。淋病では症状が顕著で、尿道から黄色や黄白色の濃い膿が多量に出て強い排尿時の痛みを伴うのが典型です。一方、クラミジア感染症では透明~乳白色のサラサラした分泌物や軽い排尿痛・かゆみなど、比較的軽い症状にとどまることが多く、中には違和感程度または無症状のまま経過するケースも少なくありません。症状だけで淋病かクラミジアかを判断するのは難しいため、専門の検査を受けて正確な原因を突き止めることが重要です。

性行為後の排尿痛や尿道分泌物の原因の多くは、性行為によってうつる性感染症(性病)による尿道炎です。特に頻度が高いのがクラミジアと淋菌による感染症で、日本で報告される性病の約7割を占めるともいわれます。

クラミジア感染症(クラミジア性尿道炎)

日本で最も患者数の多い性病で、クラミジア・トラコマティスという細菌が原因です。潜伏期間はやや長く、性行為から1~3週間ほど経ってから症状が現れることが多いです。症状は軽い場合が多く、尿道から透明~白濁の分泌物が少量出たり、排尿時にチクっとしみるような痛みやかゆみを感じる程度です。自覚症状がないまま感染が進行するケースも多いため、「5人に4人は症状が無い」という報告もあるほど隠れた感染が問題になっています。

淋菌感染症(淋病・淋菌性尿道炎)

クラミジアに次いで患者数の多い代表的な性病で、淋菌という細菌への感染が原因です。「淋病(りんびょう)」の名前でも古くから知られています。淋菌は感染力が強く、コンドーム無しの1回の性行為で20~50%もの高い確率で感染するとも言われます。性器や咽頭へのオーラルセックスでも感染するため注意が必要です。潜伏期間は比較的短く、性行為後2~7日程度で症状が出ることが多いです。男性の場合、尿道に感染すると急性尿道炎を発症し、尿道から膿のような黄色い分泌物が大量に出て、排尿時に激しい痛みが走ります。

その他の原因: 性交後の尿道炎の原因は淋菌・クラミジアが大半ですが、実はそれ以外にもマイコプラズマやウレアプラズマといった細菌、トリコモナス原虫、稀にウイルス(例:単純ヘルペスウイルス)などが原因となる場合もあります。

排尿痛や膿のような分泌物の症状が一時的に治まったとしても、自己判断で「治った」と思い込み、感染を放置するのは大変危険です。たとえ症状が軽快しても体内から菌がいなくなったとは限らず、適切な治療を受けないまま慢性化・長期化すると深刻な合併症を引き起こすことがあります。

  • 感染の慢性化と再燃
    • 初期のつらい症状が引いた後も、尿道や生殖器に菌が潜伏して慢性尿道炎や慢性前立腺炎といった状態に移行することがあります。慢性化すると自覚症状がはっきりしないままダラダラと炎症が続き、数週間~数ヶ月後に再び尿道の痛みや分泌物が増えるなど症状がぶり返すことがあります(治療せず菌が残っていれば何度でも再燃します)。特にクラミジアは症状が軽いため放っておかれやすく、その間にも他の人へ感染を広げてしまう恐れがあります。
  • 生殖器への波及と不妊症リスク
    • 治療せず放置した場合、男性では尿道の感染が奥へ波及し前立腺炎や精巣上体炎(副睾丸の炎症)を引き起こすことがあります。精巣上体炎になると睾丸の腫れ・激痛・発熱など重い症状を伴い、重症の場合は入院が必要になることもあります。両側の精巣上体炎が生じてしまうと、精子の通り道が塞がれ将来的に男性不妊の原因となる可能性があります。
  • パートナーへの感染拡大
    • 自分が治療を受けず感染したままでいると、パートナーや将来の交際相手に病気をうつし続けてしまうリスクがあります。特にクラミジアや淋菌は症状が出にくいため、知らず知らずのうちに周囲へ感染を広げてしまう可能性があります。大切なパートナーの健康や将来のことを考えても、疑いを感じた時点で早めに対処することが肝心です。また女性パートナーがいる場合、もしその方が妊娠していたり将来妊娠した際には、母子感染による赤ちゃんへの影響(新生児の結膜炎や肺炎など)も懸念されます。
性行為から何日後に症状が現れますか?

一般に、淋菌に感染した場合は2~7日ほどの潜伏期間で症状が出ることが多く、クラミジアに感染した場合は1~3週間ほど経ってから症状が現れることが多いです。ただし個人差が大きく、感染してもすぐには症状が出ない場合や、非常に軽い症状しか出ないために感染に気づかないケースも少なくありません。

治療後に再発することはありますか?

適切な抗生物質治療を受ければ体内の菌は排除されるため、一度治療して完治すれば自然に同じ感染症がぶり返すことは基本的にありません。しかし、治療が不十分だった場合や薬剤耐性菌によって菌が生き残ってしまった場合には症状が再燃する可能性があります。

パートナーも検査・治療を受けるべきですか?

はい、パートナーも必ず検査・治療を受けるようにしてください。自分に性病が見つかったということは、パートナーにも高確率で感染していると考えられます。たとえパートナーに症状が無くても安心はできません。特に女性は感染しても症状が出にくく、気づかないまま病状が進行するケースが多いため注意が必要です。パートナーが未治療だと前述のように再感染(ピンポン感染)を招く恐れもありますし、女性の場合は将来の不妊リスクにつながる可能性もあります。

淋病・クラミジアによる排尿痛や尿道分泌物は、非常に有名な性感染症でありながら「症状が無い」「大したことがない」と放置されてしまいがちな病気です。

しかし、治療せず放置すれば将来の不妊症につながることもある危険な疾患です。少しでも違和感があったり、性行為後に不安がある場合は、お一人で悩まず泌尿器科専門医の診断を受けることをおすすめします。

早期に受診し適切な治療を受ければ、ほとんどの場合きちんと治すことができます。特に初めて性病にかかる方は不安や恥ずかしさもあるかもしれませんが、当院ではプライバシーに十分配慮し、丁寧に対応いたしますのでご安心ください。