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尿路結石

腎臓から膀胱・尿道に至る尿の通り道(尿路)の中に石ができる病気です。

日本では食生活の欧米化などにより患者数が増加傾向にあり、生涯で約10人に1人(男性では7人に1人)が発症すると言われます。特に30~60代の働き盛り世代に多く、男性は女性の約2〜2.5倍発症しやすいことが知られています。

女性の場合は閉経後に増える傾向があります。つまり尿路結石は中高年の男性に多い病気ですが、誰にでも起こり得るものです。

尿路結石でもっとも特徴的なのは、突然襲われる激しい痛みです。

一般に「腎疝痛(じんせんつう)」と呼ばれ、背中や脇腹から下腹部、鼠径部(脚の付け根)にかけて移動する強烈な痛みが発作的に生じます。痛みが非常に強いため「じっとしていられないほどの痛み」と表現されることもあり、冷や汗や吐き気・嘔吐を伴い救急搬送される方も珍しくありません。

主な症状には次のようなものがあります。

  • 突発的な強い痛み
  • 血尿
  • 排尿時の痛み・違和感
  • 頻尿・残尿感

なお、腎臓内にとどまる結石は痛みを出さずに経過することも多く、人間ドックや健康診断のエコー検査などで偶然に見つかる場合もあります。しかし一旦尿管に石が落ちて尿の流れを塞ぐと強い痛みが起こるため、この痛みをきっかけに受診して発覚するケースが一般的です。

なぜ尿路結石でこれほど激しい痛みが起こるのでしょうか? 

そのメカニズムの鍵は「尿の通路の詰まり」と「圧力の上昇」です。腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱へ流れますが、尿管に結石が詰まると尿が流れなくなり、行き場を失った尿で腎臓の内部(腎盂という部分)が急激に膨らみます。

この膨張により腎臓や尿管の壁が強く引き伸ばされ、神経が刺激されて激痛が生じます。さらに尿管は結石を押し出そうと痙攣的に収縮を繰り返すため、これも鋭い痛みの原因となります。いわば尿のうっ滞による内圧上昇と尿管の痙攣が、腎疝痛という激しい痛みを引き起こしているのです。

痛みは腰部や側腹部に始まり、石が下方へ移動するにつれて下腹部や鼠径部へと放散します。

男性では睾丸や鼠径部、女性では外陰部に痛みを感じることもあります。これはそれぞれの部位と腎臓付近の神経が関連しているためです。また、痛みが強いと自律神経が乱れ、冷や汗や吐き気を催すことがあります。

痛みの発作は一時的に収まってもしばしば再燃し、石が自然に排出されるか適切な治療で尿の流れが回復するまで繰り返すことがあります。

一口に「尿路結石」と言っても、実はいくつかの種類があります。結石は主にその成分(組成)によって分類されます。日本人の尿路結石の約85%はカルシウムを含む結石で、そのほとんどがシュウ酸カルシウム結石です。

そのほか尿の性質や原因によって次のような種類があります。

  • シュウ酸カルシウム結石
  • 尿酸結石
  • その他の結石
    • ストルバイト結石(リン酸マグネシウムアンモニウム結石)や、遺伝性疾患によるシスチン結石

結石の成分は治療方針や再発予防の指針になります。可能であれば排出された結石を回収し、検査機関で成分分析を行います。例えば尿酸結石であれば尿をアルカリ化する治療、シュウ酸カルシウム結石であれば食事中のシュウ酸や塩分の制限など、それぞれの結石に合わせた再発予防策を検討します。

症状や尿検査、画像検査によって総合的に行います。

激しい脇腹の痛みや血尿といった症状からある程度診断は推測できますが、確定のためには画像検査で石の存在を確認することが重要です。当院や一般的な医療機関で行われる主な検査は次のとおりです。

  • 尿検査
  • 超音波検査(エコー検査)
  • レントゲン検査
  • CT検査
    • 当院では高度な画像診断が必要と判断した場合、連携先の病院でCT検査を受けていただくことが可能です。

以上の他にも、血液検査で腎臓の働きや尿酸・カルシウム値などを測定します。

血中カルシウムが高い場合は副甲状腺ホルモンの異常(原発性副甲状腺機能亢進症)が隠れていないか調べる必要があります。また長期的な再発予防のために、必要に応じて24時間蓄尿検査を行い尿中の結石リスク因子(カルシウム、シュウ酸、尿酸、クエン酸など)の量を分析することもあります。

尿路結石の治療は、結石による痛みなどの症状を和らげる対症療法と、結石そのものを体外に出す治療の二本立てで行います。結石の大きさや場所、症状の程度によって治療方針は異なりますが、一般的な流れとしてはまず痛みを抑える処置を行い、その後に結石排出のための治療を進めます。

痛みなど急性症状に対する治療(薬物療法)

腎疝痛の発作が起きているときは、まず速やかに痛みを止めることが最優先です。座薬や内服薬、点滴による鎮痛剤の投与によって痛みをコントロールします。必要に応じて尿管の痙攣を抑える鎮痙薬(尿管を拡張させる薬)も併用されます。痛みで嘔気・嘔吐がある場合には制吐剤の投与も行い、症状を落ち着かせます。これらの処置により多くの場合痛みは和らぎますが、繰り返し発作が起こる場合や痛みが強く点滴治療では不十分な場合、入院のうえで経過をみることもあります

結石を排出させる治療

痛みが落ち着いたら、結石そのものを体外に出すための治療に移ります。

結石のサイズが小さく尿の流れも保たれている場合は、無理に手術をせず自然排石(じねんはいせき)を促す保存的療法がとられることが一般的です。具体的には、鎮痛薬を処方して痛みを抑えつつ、水分を多めに摂取して尿量を増やし(1日2リットル以上の尿が出ることを目標にします)、適度に体を動かすよう指導します。

尿管の緊張を緩めるお薬(αブロッカーなど)を内服することで、石が自然に下りてくるのを助けることもできます。アルコールやカフェインの過剰摂取はかえって尿量を減らしたり尿管の攣縮を誘発することがあるため控えましょう。一般に石の大きさが5~6mm以下であれば自然に排出される可能性が高いとされており、特に8mm以下の結石は多くが自然排石可能です。実際、10mm未満の結石では約6割が4週間以内に自然に出たとの報告もあります。自然排石を期待する場合、定期的に画像検査で石の位置をフォローしながら、数週間~1か月程度経過を見ます。経過中に発熱や腎機能低下などの異常が生じた場合は、治療方針の変更を検討します。

積極的な結石治療(手術療法)

結石が大きい(概ね直径が7~8mm以上)場合や、痛みなどの症状が強い場合、また保存療法で経過を見ても石が移動しない場合には、積極的に結石を取り除く治療を行います。現在は体への負担が小さい砕石療法が発達しており、ほとんどの結石は開腹手術をせずに治療できます。

代表的な治療法には次のようなものがあります。

  • 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)
  • 内視鏡手術
  • 開腹手術

※必要に応じて提携先の病院をご紹介いたします。

状態に合わせて安全かつ効果的な治療法を選択していきますので、心配なことは遠慮なくご相談ください。

「痛みも治まったし、このまま様子を見ても大丈夫かな…」と思われるかもしれません。

しかし、尿路結石を放置することは大変危険です。結石が尿の通り道に残ったままになれば、次のようなリスクがあります。

  • 尿路の閉塞による腎機能低下
  • 尿路感染症・敗血症
  • 結石の増大・新たな結石の形成

以上のように、尿路結石は適切に対処しないと腎臓の働きを損ねたり深刻な感染症を引き起こすリスクがあります。痛みが和らいだ後でも油断せず、医師の指示に従って確実に結石を除去・排出することが大切です。

尿路結石は再発をしやすい病気としても知られています。

実際、一度結石を経験した人の約50%が5年以内に再び結石を発症するという報告もあります。では、再発を防ぐためにどのような対策が有効でしょうか。ポイントは主に水分摂取と生活習慣の見直しです。

  • 十分な水分摂取
  • 食生活の改善
  • 生活習慣病の管理
  • 定期的な検診・フォロー

結石を再発しても早期に見つけて対処できれば大事に至りません。違和感がなくても定期的に尿検査や画像検査を受け、再発の兆候がないかチェックしましょう。

特に結石を繰り返している方は泌尿器科で継続的にフォローを受けることをおすすめします。専門医による生活指導を継続するだけでも再発率が下がるという報告もあります。

水はどれくらい飲めばよいですか?

目安として1日あたり2リットル以上の尿が出るくらい、水分を十分に摂りましょう。

一般には「1日2~3リットルの水分摂取」が推奨されます。こまめに水や麦茶などを飲み、尿を薄めて結石成分が蓄積しないようにします。特に暑い時期や運動後は脱水に注意してください。尿の色が薄い黄色~透明を保てるくらいが理想的です。アルコールやカフェイン飲料は利尿作用でかえって脱水を招くこともあるので、水分補給の主体は水やカフェインレスのお茶がおすすめです。

結石は自然に排出されますか?

石の大きさや場所によります。5mm以下程度の小さな結石であれば、多くは自然に尿と一緒に体外へ出ていきます。実際には7~8mmくらいまでの石なら自然排石が期待できるケースが多いです。

一方、石が大きい(目安として直径が1cm以上)場合や尿の通り道に引っかかって動かない場合は、自然には出にくく積極的な治療が必要になることがあります。自然排石が可能かどうかは画像検査で石の大きさ・位置を確認すればある程度判断できます。

医師から「このサイズなら自然に出るでしょう」と言われた場合は、水分を多く摂って体を動かしつつ、指示されたお薬を飲んで様子を見ましょう。排尿時に石が出てくることもあるので、指示があれば排尿を茶こしで漉して石が取れないか確認します。反対に「この大きさだと自然排出は難しいですね」と言われた場合は、体外衝撃波などの治療で石を砕くことを検討します。いずれにせよ自己判断で放置せず、定期的に医療機関で経過をチェックしてもらうことが大切です。

激しい痛みの発作が起きたらどうすればいいですか?

我慢せず、すぐに適切な医療を受けましょう。

尿路結石の痛みは家庭で対処しきれないほど強烈になることが多く、無理に耐えるのは危険です。夜間や外出先で発作が起きた場合は、無理せず救急受診を検討してください。

応急的には、市販の鎮痛薬(イブプロフェンやアセトアミノフェンなど)を服用して痛みを和らげ、水分を取って安静にします。横になって楽な姿勢を探し、可能なら体を温めると幾分か痛みが軽減することもあります。

しかし根本的には尿の流れを確保しないと痛みは繰り返すため、痛みが治まっても必ず医療機関を受診しましょう。病院では点滴や座薬で強力な鎮痛剤を使用できますし、必要に応じて尿管に管を通す処置で痛みの原因を取り除くこともできます。特に発熱や嘔吐を伴う場合は緊急性が高いので、ためらわず受診してください。

当院では、尿路結石かなと思ったときから治療・再発予防まで、安心してお任せいただける体制を整えています。

  • 迅速な検査
    • 来院当日に超音波検査(エコー)や尿検査を行い、結石の有無や大きさ、尿路の状態をその場で評価します。必要に応じて血液検査で腎臓の機能や炎症の有無も確認します。結果に基づき、今後の治療方針をわかりやすく説明いたします。
  • 痛みの緩和・薬物療法
    • 強い痛みを伴う場合は、速やかに鎮痛剤や鎮痙剤を投与して苦痛を和らげます。症状と検査結果に応じて、結石の自然排出を促す内服薬(尿管を拡張する薬や尿をアルカリ化する薬)を処方し、ご自宅での療養をサポートします。吐き気がある場合には吐き気止めも併用します。
  • 経過フォローと予防指導
    • 外来にて定期的に経過観察を行い、超音波検査やレントゲンで結石の動きを確認します。石が無事排出された後も再発を防ぐため、水分摂取や食生活について丁寧にアドバイスいたします。必要に応じて生活習慣病の管理や栄養指導も行い、患者様と一緒に再発予防に取り組みます。
  • 専門医療機関との連携
    • 大きな結石で体外衝撃波破砕術や入院での手術が必要と判断される場合には、速やかに連携先の泌尿器科専門医療機関をご紹介いたします。当院での検査結果を共有し、スムーズに高度医療へ繋げられるようサポートします。術後のフォローアップや日常管理は引き続き当院で対応し、患者様を総合的に支えてまいります。

尿の違和感や脇腹の急な痛みは、我慢せず早めにご相談ください。

尿路結石は適切に対処すれば多くが改善し、再発も予防できます。当院ではエコー・尿検査による迅速評価、痛みのコントロール、自然排石の管理、必要時のCT紹介まで一貫してサポート。再発予防の水分・食事指導も丁寧にお伝えします。