
膀胱炎は女性を中心に非常に多くの方が経験する身近な病気です。排尿痛・頻尿・残尿感といったつらい症状が出ると、少しでも早く楽になりたいと思うのは当然のことでしょう。
しかし、良かれと思ってやっていることが実は逆効果だったり、「このくらい大丈夫」と放置した結果、症状が悪化してしまったりするケースは少なくありません。
このコラムでは、膀胱炎になったときに「やってはいけないNG行動」と「正しい対処法」を詳しく解説します。膀胱炎を早く治すために、そして重症化を防ぐために、ぜひ知っておいてください。
膀胱炎の基本をおさらい
膀胱炎は、大腸菌などの細菌が尿道から膀胱に侵入し、炎症を起こす病気です。主な症状は排尿時の痛み、頻尿、残尿感、尿の濁り、血尿などです。
女性は尿道が短く(約3〜4cm)、肛門との距離も近い構造のため、男性に比べて膀胱炎にかかりやすくなっています。疲労やストレスで免疫力が低下しているときに発症しやすく、適切な治療(抗菌薬の内服)で通常3〜7日で改善します。
では、膀胱炎中に避けるべき行動を見ていきましょう。

NG行動①:病院に行かず放置する
膀胱炎のNG行動として最も危険なのが「放置」です。
「忙しいから」「そのうち治るだろう」「恥ずかしいから」と受診を先延ばしにしてしまう方は多いですが、膀胱炎は放置するとさまざまなリスクがあります。
- 放置した場合のリスク
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- 腎盂腎炎への進行
- 膀胱の細菌が尿管を通って腎臓に到達すると、38度以上の高熱・激しい腰背部痛・悪寒を伴う腎盂腎炎を発症します。入院治療が必要になることも少なくありません
- 敗血症
- 腎盂腎炎がさらに悪化すると、細菌が血流に入り込んで全身に炎症が起きる「敗血症」を引き起こし、命に関わる状態になることがあります
- 慢性化・反復化
- 細菌が完全に排除されないまま症状だけが一時的に治まると、慢性化したり短期間で何度も再発を繰り返すようになります
「たかが膀胱炎」と思わず、症状が出たら早めに泌尿器科を受診することが大切です。
- 腎盂腎炎への進行
NG行動②:トイレを我慢する
膀胱炎中にトイレを我慢するのは最も避けるべき行動の一つです。
排尿には膀胱内の細菌を体の外に洗い流す大切な役割があります。トイレを我慢して尿を膀胱にためすぎると、細菌が増殖する時間を与えてしまい、症状の悪化につながります。
膀胱炎中は頻尿になるため「こんなに何度もトイレに行くのが面倒」と感じるかもしれませんが、尿意を感じたらすぐにトイレに行くことが回復への近道です。
NG行動③:水分を控える
「トイレに何度も行くのが嫌だから水分を減らそう」と考える方がいますが、これは逆効果です。
水分を摂る量を減らすと尿が濃縮され、膀胱内の細菌濃度が高まります。また、排尿回数が減ることで細菌を排出する機会も失われます。
膀胱炎中はむしろ普段以上に水分を多く摂り、こまめに排尿して細菌を洗い流すことが大切です。1日2リットル以上の水やお茶をこまめに摂取することを心がけましょう。
NG行動④:自己判断で前回の残薬や市販薬だけで済ませる
「前に膀胱炎になったときの抗菌薬が余っているから、それを飲もう」これは非常に危険なNG行動です。
- 残薬の自己服用がダメな理由
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- 原因菌が前回と同じとは限らない
- 効果のない抗菌薬を飲んでも菌は排除されず、症状が悪化する可能性があります
- 薬剤耐性菌を生むリスク
- 中途半端な量の抗菌薬は細菌を完全に殺しきれず、薬に対する耐性を持った菌(薬剤耐性菌)を生み出す原因になります
- 量や日数が不適切
- 残薬では適切な治療期間分の薬が足りない場合がほとんどです
- 原因菌が前回と同じとは限らない
- 市販薬だけで済ませるリスク
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市販の漢方薬や生薬製剤で軽度の症状が和らぐことはありますが、膀胱炎の原因菌を確実に排除するには医療機関で処方される抗菌薬が必要です。市販薬で症状だけ抑えて細菌が残り続けると、再発や慢性化、腎盂腎炎への進行につながります。
症状が出たら自己判断で済ませず、泌尿器科で適切な薬を処方してもらいましょう。
NG行動⑤:処方された抗菌薬を途中でやめる
泌尿器科で抗菌薬を処方された後、「症状が楽になったからもう飲まなくていいだろう」と途中で服用をやめてしまう方がいます。これも非常に重要なNG行動です。
症状が改善しても、膀胱内にはまだ細菌が残っている可能性があります。処方された分をすべて飲み切ることで細菌を完全に排除し、再発や薬剤耐性菌の発生を防ぐことができます。
医師が指示した服用期間と回数は必ず守りましょう。
NG行動⑥:アルコールを飲む
膀胱炎中のアルコール摂取は避けるべきです。
- 利尿作用による脱水
- アルコールには利尿作用があり、体の水分を奪います。脱水状態になると尿が濃縮され、膀胱への刺激が強まります
- 膀胱粘膜への刺激
- アルコールは膀胱粘膜を直接刺激し、炎症を悪化させる可能性があります
- 免疫力の低下
- アルコールの過剰摂取は免疫機能を低下させ、細菌と闘う体の力を弱めてしまいます
膀胱炎の症状が完全に治まるまでは、飲酒を控えることをおすすめします。
NG行動⑦:刺激の強い飲食物を摂りすぎる
膀胱炎中は、以下のような膀胱を刺激しやすい飲食物にも注意が必要です。
- カフェインを多く含む飲み物
- コーヒー、濃い緑茶、エナジードリンクなど。利尿作用と膀胱刺激の両方の影響がある
- 炭酸飲料
- 膀胱粘膜を刺激し、頻尿や排尿痛を悪化させる可能性がある
- 香辛料の強い食べ物
- 唐辛子、わさび、カレーなど刺激の強い香辛料は膀胱の炎症を刺激することがある
- 酸味の強い食品
- 柑橘類のジュースやトマトなど、酸性の強い食品が症状を悪化させる場合がある
これらを完全に避ける必要はありませんが、症状が強いときは控えめにし、水やカフェインの少ないお茶を中心に水分を摂るのがよいでしょう。
NG行動⑧:体を冷やす
体の冷えは免疫力を低下させ、膀胱炎の回復を遅らせます。
特に下腹部や腰回りを冷やさないことが大切です。薄着での外出、冷房の効きすぎた室内での長時間作業、冷たい飲み物の摂りすぎなどに注意しましょう。
お風呂で体を温めることは問題ありませんが、入浴剤や強い香料の入った石鹸はデリケートゾーンへの刺激になることがあるため、使用を控えるか、お湯だけでやさしく洗うのがおすすめです。
NG行動⑨:デリケートゾーンの過度な洗浄
膀胱炎になると「清潔にしなきゃ」と思い、デリケートゾーンをゴシゴシ洗いすぎてしまう方がいます。しかし、過度な洗浄は逆効果になることがあります。
デリケートゾーンには、外部からの細菌の侵入を防ぐ「常在菌」が存在しています。刺激の強い石鹸やビデの使いすぎでこの常在菌のバランスが崩れると、かえって感染しやすい環境を作ってしまいます。
デリケートゾーンの洗浄はぬるま湯で軽く流す程度にとどめ、使用する場合は弱酸性の低刺激なソープを選びましょう。
NG行動⑩:性行為をする
膀胱炎の症状がある間は、性行為を控えることをおすすめします。
性行為によって尿道に物理的な刺激が加わり、細菌がさらに膀胱に押し込まれて症状が悪化する可能性があります。また、炎症が起きている状態での刺激は痛みを強く感じやすくなります。
症状が完全に治まり、抗菌薬の服用を終えてから再開するのが安心です。
膀胱炎になったときの正しい対処法まとめ
NG行動を踏まえ、膀胱炎になったときに心がけたい正しい対処法をまとめます。
- 早めに泌尿器科を受診する
- 症状が出たらできるだけ早く受診し、適切な抗菌薬の処方を受ける
- 処方薬は最後まで飲み切る
- 症状が治まっても、指示された日数分をすべて服用する
- 水分をたっぷり摂る
- 1日2リットル以上の水やお茶をこまめに摂取して、細菌を排出する
- トイレを我慢しない
- 尿意を感じたらすぐにトイレへ
- アルコール・カフェイン・刺激物を控える
- 膀胱への刺激を最小限に
- 下半身を温かく保つ
- 冷えによる免疫低下を防ぐ
- 十分な休養をとる
- 睡眠と休息で体の回復力を高める
- 排便後は前から後ろに拭く
- 再感染を予防する基本的な衛生習慣
よくある質問
膀胱炎の症状でお困りなら
膀胱炎は正しい知識をもって対処すれば、早期に改善が見込める病気です。一方で、誤った対処や放置は症状の悪化や重い合併症につながるリスクがあります。
まゆみ泌尿器科内科クリニック(東武アーバンパークライン岩槻駅 徒歩1分)では、膀胱炎をはじめとする排尿トラブルの診断・治療に幅広く対応しております。
「早く楽になりたい」「繰り返す膀胱炎をなんとかしたい」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。
